社交不安障害による過呼吸30代 男性 宗像市
来院までの経緯
6年前から電車や大人数の飲み会で、動悸や息苦しさを感じていました。最近では管理職に昇進した頃から、過呼吸の症状が強くなっていました。
特に、大人数の前で話す機会が増え、社内プレゼンや社交的な場などで過呼吸が起きていました。
自宅だけでなく会社でも過呼吸が起こることで、精神的なストレスが次第に大きくなっていました。
最初に総合病院の循環器内科で検査を受けましたが、身体的には異常が見つかりませんでした。
次に心療内科で「社交不安障害」「パニック発作」と診断され、薬を服用していましたが、十分な変化を実感できませんでした。
初回来院時のお悩み
① 症状のことを常に考えてしまい、仕事に集中できませんでした。過呼吸や動悸、息苦しさが日常的に起こり、業務に支障をきたしていました。
② 家庭内でもイライラ感が強く、子どもに対して感情的に接してしまうことがありました。
③ 寝つきが悪く、何度も目が覚めてしまうため、十分な休息が取れず、心身ともに疲労が蓄積している状態でした。
初回来院時の心身の評価
① 昇進が早かったことに対する不安と、自己評価のズレ
「自分が思う以上に能力が評価されている」と感じ、そのギャップがプレッシャーを増やしていました。
② 自分の弱い部分や怒りを他人に知られることへの強い抵抗感
感情を抑え込むことに過剰な負担を感じ、精神的に疲れているご様子でした。
③ 「八方美人」であり続けることへの疲れ
自分を出すことへの不安や、期待に応えなければならないというプレッシャーが、精神的に追い込む要因となっていました。
④ 東洋医学的には、舌診から精神的な不安定さがうかがえました。
鍼灸施術の経過
施術目的
社交不安障害は、他人から否定的に評価されることへの不安や恐怖が背景として関与し、それが過呼吸、息苦しさ、動悸などの身体症状として現れることがあります。
この方の場合、自己否定感が強く、他人からの評価に敏感になりやすいことで、症状が悪化している可能性があると考えられました。特に、自分に対して過剰なプレッシャーをかけている状態でした。
そこで施術では、以下を重視しました。
■自己受容感の強化
自分をありのままに受け入れられる感覚を育て、過剰な自己批判を減らしていくことを目指しました。
これを意識的に高めることで、社交不安の軽減と心身のバランスの安定を目指しました。。
施術内容
① 過呼吸を抑えるための、心身の緊張を和らげる鍼灸施術
過呼吸の症状を和らげるため、心身の緊張をゆるめる鍼灸施術を行いました。自律神経のバランスを整えるサポートを行い、過度な緊張や不安が高まった際にも呼吸を落ち着かせやすくなるよう支援しました。
② 自己受容感を高めるカウンセリング
自己評価が低く、自己否定的な思考が強まりやすい点に対して、捉え方を整理し、自分を受け入れるための考え方を一緒に整えました。
③ 前向きな捉え方を育てる心理学ワーク
ネガティブ思考に偏りやすい場面で、捉え方の幅を増やすための心理学ワークを実施しました。
④ 過呼吸へのセルフケア指導
予防方法と、過呼吸が起きた際の対処方法をお伝えしました。
1~4回目(週1回の来院)
以前は過呼吸の症状について四六時中考えていたが、最近ではそのことを考える時間が徐々に減少してきたとのことです。症状に対する執着が薄れてきたことは、回復の兆しとして良い変化でした。
過呼吸が起こる回数は大きく変わらないものの、以前より症状が軽く感じるようになったとのことです。
また、毎日服用していた頓服の使用頻度が、現在では2日に1回ほどに減ってきました。ご本人の中で自己調整の工夫ができる場面が増えてきたご様子でした。
5~9回(週1回の来院)
過呼吸の回数は週1回まで減少しました。
多くの人が集まる花火大会に行った際も、少し緊張を感じる程度で過ごせたとのことです。普段の生活でも不安が少しずつ和らいでいる実感が出てきていました。
また、睡眠の質が向上し、途中で目が覚めることがほぼなくなりました。良質な睡眠は日中の精神状態にも良い影響が出やすいです。
仕事中に過呼吸が「起きそう」と感じても、落ち着いて対処できる場面が増えてきました。緊張や不安への向き合い方が整ってきたご様子でした。
さらに、仕事に対する捉え方が前向きに変化し、自信を持って取り組めるようになった点も大きな変化でした。
10~12回(週1回の来院)
過呼吸は起こらない状態が続き、症状の改善が見られました。
以前は家でも常に緊張してピリピリしていましたが、今では帰宅後にリラックスし、子どもと遊ぶことが楽しみになったとのことです。
また、奥様から「顔の表情が柔らかくなり、笑顔が増えたね」と言われたそうです。内面の変化が表情にも現れてきたご様子でした。
現在
月1回のメンテナンス通院。
環境自体は大きく変わっていないにもかかわらず、「今の自分でも大丈夫だ」と自信を持てるようになったとのことです。
自己受容感が高まることで、不安や緊張感にとらわれにくくなり、以前より楽に日常生活を送れるようになってきました。
※服薬の変更は、主治医と相談しながら進めることが大切です。
※経過には個人差があります。

